2026年10月22日:『Canadian Holmes』2026年秋号が届く

シャーロッキアン日記

10月19日の日記で、平山雄一さんの論考がカナダのホームズ団体の機関誌に掲載されたことを書きました。その掲載号である『Canadian Holmes』2026年秋号(第49巻第4号)が、先日わが家に届きました。

ちなみに、『Canadian Holmes』は紙版とPDF版のハイブリッドで発行されていて、会員はメンバーサイトからPDF版を読むことができます。そのため、今回は紙版が来る前にPDF版で内容を確認できました。

『Canadian Holmes』はThe Bootmakers of Torontoの機関誌で、年4回発行されています。今年は春号、夏号に続いて3冊目です。今号の表紙は、パイプをくわえて虫眼鏡で手元を覗き込むホームズの、版画風のイラストです。

 

今号の目次

目次は以下のとおりです(拙訳です。まだ読んでいない記事もあるので、訳が不正確なものがあるかもしれません)。

2026年秋号(第49巻第4号)目次

ブーツの足跡の軌跡(ジョアン&マーク・アルバースタット)p.1
張り出し窓からの眺め(バーバラ・ラッシュ)p.2
1903年版「踊る人形」の振付(第2部)(ロス E. デイヴィーズ)p.4
「踊る人形」と態度証拠(ジル・ルノー)p.15
それはクローマーで起きた:『バスカヴィル家の犬』の誕生(マティアス・ボーストレム)p.19
日本にあるコナン・ドイルの書簡:前田侯爵のコレクション(平山雄一)p.31
『ストランド・マガジン』に掲載されたコナン・ドイルのホームズ以外の作品(マーク・ジョーンズ)p.35
「ホームズは私に短い書評を書いてくれた」 p.37
ブートメーカーズ日誌 p.39
「キャノン・オー・グラム」(スティーブ・メイソン)p.40

平山さんの論考

今号でいちばん気になっていたのは、もちろん平山雄一さんの「A Conan Doyle Letter in Japan: Marquis Maeda’s Collection」(pp.31–34)です。今年春に東京国立博物館の特別展「百万石!加賀前田家」に出品された、ドイルがデイヴィッド・クリスティ・マレーに宛てた書簡を論じたものです。

この書簡については、私もマット・ホールさんとの共著論考を書いていました。その経緯と、二つの論考の着眼点の違いは10月19日の日記にまとめています。『Canadian Holmes』は会員向けの機関誌なので、ここでは詳しい紹介は控えます。平山さんの論考は、1896年春のドイルの足取りやマレーとの交流など、伝記的な文脈から書簡を読み解いたものです。一方、私たちの論考は書簡の来歴と前田利為のコレクション形成に重心を置いています。両方を並べて読むと、一通の手紙がより立体的に見えてくると思います。

「踊る人形」を扱う2本

今号は「踊る人形」に関する論考が2本並んでいます。「踊る人形」がストランド・マガジンに掲載されたのは1903年12月号なので、ロスさんの連載タイトルにある「1903年」はこの初出の年を指しているのだと思います(私の推測です)。この連載は夏号に掲載された第1部の続きです。

ジルさんの論考のタイトルにある「demeanour evidence」は法廷用語です。証言の内容そのものではなく、証人の表情や態度、話しぶりからその信用性を判断する考え方を指します。著者のジル・ルノーさんはカナダ・オンタリオ州の判事で、ホームズ物語を題材に捜査や証拠評価を論じた文章も書いています。このような観点から「踊る人形」がどう読まれているのか、これから読むのが楽しみです。

クローマーと『バスカヴィル家の犬』

『From Holmes to Sherlock』の著者として知られるスウェーデンのマティアス・ボーストレムさんは、『バスカヴィル家の犬』誕生の地、クローマーを取り上げています。1901年春、ドイルはバートラム・フレッチャー・ロビンソンとノーフォークの海辺の町クローマーに滞在しました。そこから母親に宛てた手紙で、ロビンソンと一緒に小さな本を書くつもりだと伝えています。これは『犬』誕生の逸話としてよく知られています。

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連載・常設欄

マーク・ジョーンズさんの「『ストランド・マガジン』に掲載されたコナン・ドイルのホームズ以外の作品」は、夏号に続く連載です。このほか、書評欄「ホームズは私に短い書評を書いてくれた」、会の活動記録「ブートメーカーズ日誌」、パズル「キャノン・オー・グラム」といった常設欄も、毎号の楽しみです。

今号も少しずつ読み進めていきたいと思います。

参考文献・リンク

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