SHSLの研究用「Scrapbook」更新と、ボルチモア最古級団体の80年

本日は、前日までに紹介した舞台やパスティーシュ企画とは重ならないものを優先して確認しました。新シャーロッキアン研究と団体史の面で見逃したくない2件があります。

SHSLの「Canon and The Journal」がSummer 2026まで更新

Sherlock Holmes Society of London(SHSL)が公開している研究資料「The Canon and The Journal – A Scrapbook」が、The Sherlock Holmes JournalのSummer 2026号まで反映する形に更新されました。現在のScrapbookページにも、Summer 2026 Journalの記事を追加したことが明記されています。

この資料を作成したのはAshley Mayo氏です。面白いのは、単なるJournalの総目次ではないこと。長年にわたってJournalに掲載された論考や書簡を、「正典のどの作品について論じているか」から逆引きできるように再編成しています。

Journalの記事は、タイトルを見ただけではどの作品について論じているのか分からないものも少なくありません。そのため、バックナンバーを揃えていても、「『海軍条約文書』について過去にどんな研究があったか」といった調査にはかなり手間がかかります。

Scrapbookはそこを解決しようという試みです。各正典作品を入口として、関連するJournalの記事や書簡を辿れるようにしています。2023年のJournalでも、特定の正典や外典について関連論考・書簡などを容易に探せるMayo氏の大規模プロジェクトとして紹介されていました。そして今回、Summer 2026号まで対象が伸びたわけです。

これはかなり実用的な更新だと思います。正典の一作品について先行研究を調べる際、Google検索やJournalの目次を片端から確認する前に、まずここを見るという使い方ができます。

The Canon and The Journal – A Scrapbook →

Six Napoleons of Baltimore、創設80周年へ

もう一つは、I Hear of Sherlock Everywhereが8月15日に公開したEpisode 340「The Six Napoleons of Baltimore」です。

ゲストはGreg Ruby氏とMike McSwiggin氏。アメリカでも古いシャーロッキアン団体の一つであるSix Napoleons of Baltimoreの歴史と、今年迎える80周年について語っています。番組は米国時間8月15日午後に公開されているため、日本では今日チェックするのにちょうどよい新着です。

Six Napoleons of Baltimoreは1946年創設。ボルチモアで6人のシャーロッキアンが夕食に集まったところから始まりました。

現在も活動を続けており、2026年9月25日には80周年記念ディナーが予定されています。今回のPodcastでは、長年続いてきた団体の伝統だけでなく、新しいボルチモアのシャーロッキアン団体についても語られています。

BSI Weekendのような大規模イベントは日本からも追いやすい一方、アメリカのシャーロッキアン文化を長く支えてきたのは、こうした各都市のscion society(地域支部・関連団体)です。一つの団体が第二次世界大戦直後から80年間続いてきた歴史を当事者から聞けるという意味で、単なるPodcastの新着以上に興味深い回だと思います。

Episode 340: The Six Napoleons of Baltimore →

今日のまとめ

今日の2件は、どちらも「ホームズ研究やシャーロッキアン活動を、どう蓄積して次へ渡すか」という点でつながっています。

SHSLのScrapbookは、長年のJournal研究を作品別に掘り起こせる形に再整理する試み。Six Napoleons of Baltimoreは、1946年に始まった地域コミュニティそのものを80年間継承してきた例です。

新作映画や大型出版ほど派手ではありませんが、こうした資料整理と地域団体の継続こそシャーロッキアン文化の基盤でしょう。研究・書誌・団体情報を一般ニュースより優先する「今日のホームズニュース」としては、今日はこの2本を取り上げるのが適切だと思います。

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