2026年7月25日:ホームズ知識のセカンドブレインを作る(1)設計編

シャーロッキアン日記

長年にわたってシャーロッキアンを続けていると、資料はどんどん増えるばかり。

しかし、手元にはあるのですが、積ん読状態のものも多く(特に洋書)、また必要なときに「あの話、どこかで読んだのに出てこない」という状態が頻発していました。

そこで、メモアプリであるObsidianとClaude を使ってこれらを横断的に検索・活用できないかとふと思いました。そして、最近、一部界隈で話題の「セカンドブレイン」を作ったらいいのではと思い立ちました。

まだ完成していないのですが、時間がかかりそうなので、いったんこの記事では、実際に作り始める前の「設計」の部分を、将来の参考として記録しておきたいと思います。

ちなみに、作り始めてから迷わないために、この設計段階でかなり時間をかけました。最近かなり愛用しているClaude(Pro)に壁打ち相手になってもらったことで、かなり円滑に進みました。

 

材料の棚卸し

まず、セカンドブレインに取り込む素材を整理しました。

デジタル化されたものは以下です。

  • 正典60編のテキストファイル
  • Baker Street Journal と Sherlock Holmes Journal のPDF、約400本
  • ホームズに関する論文PDF数十本
  • これまでのホームズクラブでの発表資料(PPTファイルなど)とその元になった資料
  • 221-books.com のブログ記事
  • Apple のメモアプリ内のホームズ関連メモ

このリストを見た時点で、「すべてを同じやり方でObsidianに入れる」のは無理だと分かりました。特にジャーナルPDF400本を律儀に全文Markdown化しようとすると、それだけで挫折します。

さらに、紙の本も大量にありますが、すべてをスキャナーで取り込んでOCRをかけてデジタルテキスト化するのは時間的に無理です。なので、将来的にはせめて目次だけでもデジタル化して、資料を探しやすくしたいと思っています。(ただしこれはデジタル化されたものが終わってからになりそうです)

 

全体設計:3層構造

素材を性質によって3層に分けることにしました。

第1層(フルテキスト):正典60編、ブログ記事、Appleメモ。分量が管理できる範囲なので、そのままMarkdownノートとして取り込みます。

第2層(索引ノート):BSJ/SHJ、論文、発表資料。実体(PDFやPPT)は外部(Zotero・ファイルシステム)に置いたまま、Obsidian側には「メタデータ+要旨+関連リンク」だけの索引ノートを1本1ノートで作ります。

第3層(MOC=Map of Content):「ヴィクトリア朝史」「日本語訳史」「ジャック・ザ・リッパー」といったテーマ別のハブノート。第1層・第2層のノートをテーマ軸で束ねる役割を持たせます。

この3層構造にすることで、全文を持ち込む必要のあるものと、索引だけで十分なものを最初に切り分けられました。

 

ユースケースの洗い出し

テンプレートを設計する前に、「何のためにこのセカンドブレインを使うのか」を先に言語化しました。想定したユースケースは以下の通りです。

1. ブログ記事・投稿・論文等の執筆時の裏付け調査(関連論文・過去記事・正典該当箇所の一括参照)
2. 書籍紹介記事の執筆時の典拠特定
3. 論文の蓄積と参照
4. 特定著者の全著作横断検索
5. テーマ別MOCからの執筆ネタ発掘
6. パスティーシュ執筆時の時代考証と正典根拠チェック
7. ポッドキャストの準備
8. JSHC発表資料の再利用
9. 日本語訳史(延原謙訳など)の系譜の串刺し検索
10. 蔵書・目次データからの「積読の中の該当論文」発見

このリストがあることで、「このフィールドは本当に必要か」をテンプレート設計時に判断する基準ができました。ユースケースから逆算せずに項目を増やしていくと、後で使われないフィールドだらけになってしまいます。

 

使用ツールと費用

設計にあたって、使用するツールとその費用も整理しました。

Obsidian:ノート本体。個人利用は無料。
Zotero:文献管理ソフト。PDFのメタデータを自動抽出し、書誌情報を一元管理。基本機能・ソフト本体は無料だが、クラウド同期は300MBまでのみ無料枠。ジャーナルPDF400本規模を同期するなら有料プランを検討するか、同期をオフにしてローカル運用に留めるかの判断が必要。
Dataview(プラグイン):frontmatterの情報をクエリしてテーブルやリストを自動生成。無料。
Templater(プラグイン):新規ノート作成時にテンプレートを自動挿入。無料。
QuickAdd(プラグイン):入力フォームからテンプレートを呼び出し、ワンアクションでノートを生成。無料。

つまり、設計・基盤構築の段階(後述するCanon・地名・人物ノートの作成まで)は完全に無料で完結します。コストが発生しうるのは、Zoteroのクラウド同期を使う場合と、大量PDFの一括処理でClaude CoworkやAPIを従量課金で使う場合に限られます。

 

テンプレート設計:まずは基盤から

汎用的な用途に対応できるところから着手することにし、他のすべてのノートタイプから参照される基盤として、まず正典ノート(Canon)、地名ノート、人物ノートの3種類の型を固めました。文献系(論文・ジャーナル・ブログ記事)のテンプレートは、この基盤を確定させてから設計する順番です。

正典ノート

60編それぞれを1ノートとし、frontmatterには短編集区分、出版年、作中の推定年代、語り手、を持たせます。本文には「登場地名」「登場人物」「テーマ・論点」「年代考証」「関連文献」のセクションを設け、地名ノート・人物ノートへのリンク先として機能させます。

地名ノート

架空か実在かを`fictional`フィールドで区別し、建物・街路・地区・都市・地域・国という粒度を`scale`で管理します。架空地名には比定説を「提唱者・根拠・出典」の形で複数併記できる構造にし、実在地名には検証状況(確認済み/論争あり/未検証)を持たせました。

人物ノート

作中人物・実在の歴史人物・著者訳者・研究者・挿絵画家までを`role`フィールドで一括管理する設計にしました。これにより、「登場人物データベース」と「研究者・関係者データベース」を1つのノートタイプで兼ねられます。

テンプレートの使われ方

これらのテンプレートは、Templaterによって新規ノート作成時に自動挿入され、QuickAddによって入力フォームから数秒〜数十秒でスタブノートを量産できるようにする想定です。frontmatterの型が統一されていることで、Dataviewを使って「この作品に登場する地名の一覧」「特定作品に関連する論文リスト」「本文が空のままの未着手ノート一覧」といったクエリが可能になります。テンプレートは単なる雛形ではなく、後の検索・集計・進捗管理を機能させるための前提条件という位置づけです。

 

ここまでの整理

– 素材は3層構造(フルテキスト/索引ノート/MOC)に分類
– テンプレート設計はユースケースからの逆算で行う
– 正典地名註釈は独立プロジェクトとして粒度を問わず全地名を対象化
– 基盤ツールはすべて無料で運用可能、コストはZotero同期と大量PDF処理の部分のみ
– 基盤テンプレート(正典・地名・人物)を先に固め、文献系テンプレートは後続で設計

今後は実際にノートを作り始める段階として、文献系(論文・ジャーナル・ブログ記事)のテンプレート設計と、Templater・QuickAddの具体的な設定手順を記録する予定です。

 

感想

NotebookLMというGoogleのサービスがあって、そこにはアップロードした資料のみを使って受け答えする機能があるのですが、アップロードできるファイル数に限界があるのが難点です。私は正典だけをアップして、キーワードが出るたびに確認するのに使っています。

またRAGという仕組みを作ったらとか、せっかくClaude ProなのだからCoworkをうまく使ってとか、いろいろ考えたのですが、いったんObsidianとClaudeを連携させる方向で作ってみたいと思います。

仕組みやツールを勉強しながら作っていくので時間がかかると思いますが、節目でどこまでできたのかを記録としてこちらにも残していきたいと思います。

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