2026年11月5日:ホームズ近刊情報(2026年11月〜2027年1月)

シャーロッキアン日記

シャーロック・ホームズ関連の新刊を、これから四半期ごとにまとめていくことにしました。扱うのは日本語の本と、英語以外の各国語の本です。(英語圏は点数が多すぎるため、原則として扱いません。注目すべきものはその都度紹介できたらと思います。)初回の対象は、2026年11月から2027年1月までに刊行予定のものと、最近の既刊のもです。11月から12月にかけては、海外ではフランスのバンド・デシネやスペイン語のアンソロジー、国内では香港発のパスティーシュの新装版と続巻、翻訳パスティーシュ2点などが重なっています。

刊行日は版元や書店の予定情報にもとづくもので、変わることがあります。

近刊カレンダー

刊行予定日 言語 タイトル 版元 種類
2026年11月6日 フランス語 Sherlock Holmes contre Arsène Lupin 第2巻「La Révolution de Vinci」 Le Lombard BD
2026年11月11日 スペイン語 Sherlock Temas de Hoy アンソロジー(英語からの翻訳)
2026年11月 イタリア語 Sherlock Holmes. Doppia morte(Il Giallo Mondadori Sherlock 第147号) Mondadori 長編パスティーシュ
2026年11月下旬 日本語 シャーロック・ホームズ人物解剖図鑑 宿敵と魔犬編 エクスナレッジ 図解ガイド
2026年11月27日 ドイツ語 Sherlock Holmes 第75話「Der Fall Oscar Brodski」 Titania Medien オーディオドラマ
2026年12月3日 日本語(中国語から翻訳) 香港のシャーロック・ホームズ1・2 作品社 パスティーシュ
2026年12月16日 日本語 刊行記念トークイベント(トレヴァー・モリス×舩山むつみ) ジュンク堂書店池袋本店 イベント(来店+オンライン)
2026年12月17日 日本語(英語から翻訳) ホリー・ヘップバーン『スラムウェル館の犬』 東京創元社(創元推理文庫) パスティーシュ
2026年12月23日 日本語 廣野由美子『別冊NHK100分de名著 集中講義 シャーロック・ホームズ』 NHK出版 解説書
2026年12月 日本語(翻訳) パトリシア・スリグリー『ホームズとキャット・ワトスンの事件簿』 KADOKAWA(角川文庫) パスティーシュ

注目の近刊:海外

フランス:BD『Sherlock Holmes contre Arsène Lupin』第2巻

ル・ロンバール社から、ドニ=ピエール・フィリッピ(Denis-Pierre Filippi)作、ロジェ・ヴィダル(Roger Vidal)画のシリーズ第2巻「La Révolution de Vinci」が11月6日に出ます。ルパン関連の情報サイトによれば、今回の舞台はイタリアで、ホームズとルパンが手を組んでヨーロッパを揺るがす陰謀を阻もうとする筋立てです。第1巻「La Quête d’éternité」は2025年6月刊でした。

スペイン:アンソロジー『Sherlock』

英国で11月5日に出る書き下ろしアンソロジー『SHERLOCK: Short Story Anthology』(Simon & Schuster UK)のスペイン語版が、1週間足らずで出ます。スペインの書店情報によれば、版元はTemas de Hoy、11月11日刊行予定、432頁です。執筆はAnthony Horowitz、Kate Mosse、Joe Hill、Sarah Perry、Janice Hallett、S. A. Cosby、Steve Cavanagh、Vaseem Khan、Abir Mukherjee、G. T. Karberの10人で、序文はStephen Fryが書いています。

イタリア:Il Giallo Mondadori Sherlock 第147号

モンダドーリ社の月刊パスティーシュ叢書の11月号は、Ken Courtenay作『Sherlock Holmes. Doppia morte』です。版元の紹介によれば、1894年にニューゲート監獄で処刑された男が、実はまだ生きていた人物を殺した罪で絞首刑になっていたと判明し、マイクロフトの依頼でホームズとワトスンが誤審の真相を追う話です。同じ作者が2025年9月にMX Publishingから出した『The Case of The Man Who Died Twice』と題名・内容が対応しており、その伊訳とみられます。

ドイツ:Titania Medien 第75話

オーディオドラマ・シリーズ『Sherlock Holmes – Die geheimen Fälle des Meisterdetektivs』の第75話「Der Fall Oscar Brodski」が、版元の発売予定では11月27日に出ます。題名はR・オースティン・フリーマンの倒叙短編「オスカー・ブロズキー事件」と同じです。ドイツ語のファンWikiによれば、このシリーズは、もともとホームズが登場しない古い探偵小説の主人公をホームズとワトスンに置き換えた翻案を数多く含んでいます。次の第76話「Der Pfad des Mörders」は2027年3月19日の予定です。

注目の近刊:日本

『香港のシャーロック・ホームズ』1・2(作品社)

香港の作家・莫理斯(トレヴァー・モリス、Trevor Morris)の中国語シリーズ『香江神探福邇,字摩斯』の日本語版が、作品社から2冊同時に出ます。第1巻『神探福邇の事件簿』は、2022年に文藝春秋から出た『辮髪のシャーロック・ホームズ』を改題した新装増補版で、新作短篇「福邇とシャーロック・ホームズの出会い」が加わります。第2巻『神探福邇の最期』は本邦初訳で、第3巻は2027年の予定とされています。発売日は書店向けの登録情報で12月3日ですが、作者は自身のXで11月後半刊行と告知していました。

刊行を記念して、12月16日(水)19時〜20時30分にジュンク堂書店池袋本店9階イベントスペースで、来日する著者トレヴァー・モリスさんと、聞き手に訳者の舩山むつみさんを迎えたトークイベント「ミステリーで香港と東アジアの19世紀末の歴史を語る」が開かれます。会場参加とオンライン視聴(翌日からアーカイブ配信あり)が選べ、終了後にはお二人のサイン会も予定されています。申し込みは丸善ジュンク堂書店のオンラインサービスで受け付けています。私も現地参加のチケット(2,000円)を予約しました。

原書は、2017年に香港の知出版から第1巻が出て、2021年からは台湾の遠流が刊行しており、第3巻『捲土重來』は2024年1月刊です。

翻訳パスティーシュ2点

東京創元社の創元推理文庫からは、ホリー・ヘップバーンの『スラムウェル館の犬』(廣瀬麻微訳)が12月17日に出る予定です。2026年5月に出た『シャーロック・ホームズは引退しました』(原題 The Missing Maid)の続編です。名探偵のいないベイカー街221Bで、ホームズの実在を信じる人々のために調査や謎解きを代行するという設定のシリーズです。

角川文庫からは、パトリシア・スリグリーの『ホームズとキャット・ワトスンの事件簿』(高橋知子訳)が12月に出る予定です。

解説書と図解ガイド

NHK出版からは、廣野由美子さんの『別冊NHK100分de名著 集中講義 シャーロック・ホームズ 「世界一の名探偵」はこうして生まれた』(A5判148頁、1,210円)が出ます。版元の紹介によれば、Eテレ「100分de名著」のテキストに書き下ろしを加えたもので、もとになった放送は2023年9月の「シャーロック・ホームズ スペシャル」です。発売日は丸善ジュンク堂書店の書誌で12月23日となっています。

エクスナレッジからは、えのころ工房の『シャーロック・ホームズ人物解剖図鑑 宿敵と魔犬編』(A5判272頁、2,750円)が出ます。2023年刊の『シャーロック・ホームズ人物解剖図鑑』の続編で、『回想』『生還』『バスカヴィル家の犬』から26の事件を取り上げ、登場人物や背景を図解しています。11月下旬出荷予定となっています。

コミカライズの続報待ち

ジェイムズ・ラヴグローヴの『シャーロック・ホームズとシャドウェルの影』(日暮雅通訳、ハヤカワ文庫FT)のコミカライズが、2026年2月に早川書房から発表されました。漫画は『そして誰もいなくなった』のコミカライズを手がけた二階堂彩さんで、開始時期は未発表です。

この3か月に出たもの

  • ドイツ語:Titania Medienのオーディオドラマ第74話「Botschaft aus dem Jenseits」(2026年10月30日)。紹介記事によれば、ホームズの甥モンゴメリーが登場する回です。シリーズはドイツ・シャーロック・ホームズ協会の「Blauer Karfunkel」賞を受けています。
  • イタリア語:Il Giallo Mondadori Sherlock 第146号『Sherlock Holmes. Nuovi omicidi sotto la lente』(2026年10月)。De Lorenzi、Mecenero、Paracchini、Mezzabarba、Pisaniのイタリア人作家5人による短編集です。9月の第145号はGretchen Altabef『Le chiavi della morte』の伊訳でした。
  • オランダ語:Poespa Producties刊のアンソロジー『Sherlock Holmes Nieuwe Avonturen』(編者Finn Audenaert)。寄稿者Johan Klein Haneveldのブログによれば、イベント「Fantasticon VII」の頃に刊行されました。

参考:この1年の大きな動き

近刊ではありませんが、初回なので触れておきます。フランスでは2025年5月にガリマール社の叢書「ビブリオテック・ド・ラ・プレイアード」から、アラン・モルヴァン監修の新訳『Sherlock Holmes』全2巻が出ました。Livres Hebdo によれば、作家ではなく作中人物の名前で叢書に入ったのは初めてです。2026年3月にはクラシック・ガルニエ社から、ジル・ロベル編訳の注釈付き『Les Aventures de Sherlock Holmes』も刊行されています。

出典

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