5月26日がピーター・カッシングの誕生日であることは、先の記事でご紹介しました。
そして翌5月27日は、サー・クリストファー・フランク・カランディーニ・リー(1922年5月27日〜2015年6月7日)の誕生日です。前後する誕生日、この偶然の一致は、シャーロキアンにとって特別な意味を持ちます。なぜならこの二人は、単なるホームズ役者ではなかったからです——20本以上の作品で顔を合わせ、生涯を通じて深い友情で結ばれた、稀有な関係の持ち主でした。
友情の始まり
二人の最初の出会いは、1957年のハマー・フィルム『フランケンシュタインの逆襲』の撮影現場でした。リー自身の回想によれば、その日のことはこう始まりました。
「私は彼の楽屋に飛び込んで、不満気に『セリフがひとつもない!』と言い放ちました。彼はちらりと顔を上げ、乾いた口調でこう言いました。『あなたはついています。私は脚本を読みましたから』」
——クリストファー・リー自伝『Tall, Dark and Gruesome』より(warped-perspective.com)
その皮肉に満ちた言葉が、二人の友情の出発点となりました。
以来、リーはインタビューでカッシングをこう語り続けました。
「ピーターは、私がこれまで出会った中で本当に善良な人物のひとりです。とても親しい友人で、穏やかで優しい。私は彼をとても愛しています。いつも彼に、司祭になるべきだったと言っています。なぜなら彼は慈愛に満ちているからです」
そしてカッシングが1994年に他界した後、リーは静かにこう言い残しています。
「彼はこの世には善良すぎたから、逝ったのだと、私はいつもそう言ってきました」
ホームズ作品に見る「数奇な縁」
リーとホームズ正典の関わりは、驚くほど多面的です。映画史上でも珍しく、ホームズ役とマイクロフト役の両方を演じた俳優です。さらにサー・ヘンリー・バスカヴィル役も加えれば、正典の三つの立場を演じ分けたことになります。
① サー・ヘンリー・バスカヴィル役(1959年)
最初のホームズ作品への出演は、先述の『バスカヴィル家の犬』(ハマー・フィルム)でした。ここでリーが演じたのはホームズではなく、カッシング演じるホームズが守るべき依頼人、サー・ヘンリー・バスカヴィル役でした。スクリーン上では名探偵と謎に包まれた依頼人——しかし現場では親しい友人同士という、なんとも不思議な関係性です。
② シャーロック・ホームズ役(1962年)
1962年、リーはドイツ・イギリス合作映画『シャーロック・ホームズと死の首飾り』(Sherlock Holmes und das Halsband des Todes)で初めてホームズ本人を演じました。監督はハマー作品でおなじみのテレンス・フィッシャー、ワトスン役はソアリー・ウォルターズ。背の高い長身と貴族的な佇まいは、ホームズにうってつけでした。
ただしこの作品には複雑な経緯があります。英語版では、リー本人ではなく別の声優による吹替が用いられたため、「あの声」でホームズを語るリーを聞くことができません。リー本人のあの低音でホームズを聞けないことが惜しまれる点です。
③ マイクロフト・ホームズ役(1970年)
1970年のビリー・ワイルダー監督作品『シャーロック・ホームズの冒険』(The Private Life of Sherlock Holmes)では、ホームズの兄マイクロフトを演じました。弟のホームズ(ロバート・スティーヴンス)を陰から操る英国政府の重鎮として、リーの存在感は際立っていました。
④ 再びシャーロック・ホームズ役(1991年・1992年)
晩年のリーは、TVムービー二作でホームズに戻ります。『シャーロック・ホームズと主役の女』(1991年)と『ヴィクトリアの滝事件』(1992年)です。ワトスン役にはパトリック・マクニー。この二作はのちに「シャーロック・ホームズ:黄金時代」としてまとめられました。シャーロック・ホームズ協会ロンドンのウェブサイトは『シャーロック・ホームズと主役の女』について、「1962年の初出演から30年後に主役を演じた」と記しており、リーとホームズの縁が半世紀近くにわたったことがわかります。
「ホームズ的資質」を持つ俳優
リーは俳優としての資質において、ホームズが体現するものと不思議な共鳴を持っていました。第二次世界大戦中、リーはフィンランド義勇軍への参加を経た後、英国空軍に入隊し、特殊作戦執行部にも関わったとされています。その経歴の詳細は今日も多くが明かされていませんが、「私が戦時中に何をしていたかは、絶対に話せない」というリーの言葉は有名です。観察眼、変装への親和性、謎めいた沈黙——ホームズ的な俳優がホームズを演じることの必然を感じさせます。
スクリーンを超えた友情と誕生日の偶然
5月26日と27日——一日違いの誕生日を持つカッシングとリー。この偶然は、ファンの間でも長く語り草となっています。
リーはカッシングとの友情をこのように語ったことがあります。
「人生のある時点で、あなた方は誰もが、心から愛し、大切に思う一人の友人がいることに気づくでしょう。その人はあなたにとても近い存在で、ある種のことだけを共有できます。たとえば電話をかけて、最初の狂気じみた笑い声や冗談だけで、誰なのかわかる。私たちはよくそうしていました。そしてその人がいなくなったとき、同じことは二度と起きません」
——クリストファー・リー(リーのドキュメンタリー/インタビュー)
クリストファー・リーは2015年6月7日、93歳でロンドンにて没しました。カッシングの誕生日の翌日、5月27日に生まれた彼は、友の誕生日から12日後にこの世を去りました。
シャーロック・ホームズという存在を軸に眺めると、二人の俳優はスクリーンの内と外で、ホームズとワトスンの関係のように映ります——互いを必要とし、補い合い、そして生涯続いた友情の中に。

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