シャーロッキアン活動の面白さは、正典を読むだけに留まりません。今回は、アメリカ・ノースカロライナ州を拠点とするシャーロッキアン団体、Sherlock Holmes Society of the Cape Fear(以下、SHSCF)が展開しているユニークな企画、「一幕芝居(One-Act Plays)」朗読プロジェクトをご紹介します。
団体概要:Sherlock Holmes Society of the Cape Fear とは
SHSCFは2017年に発足し、同年3月28日に第一回会合を開いた比較的新しい団体のようです。発足当初はノースカロライナ州ウィルミントンでの対面会合でしたが、2020年のコロナ禍を機にZOOMでの開催へと移行しました。現在は毎月第三火曜日の夜(米東部時間19時)に定例会を開催しており、会員はアメリカ・カナダ各地に広がっているとのことです。
特筆すべきは、2023年9月18日付でベイカー・ストリート・イレギュラーズ(BSI)公認の「Irregular Scion Society」として正式に認定されている点です。地域発の小さな団体でありながら、BSIという国際的権威に連なるザイオン・ソサエティであることは、この団体の活動の信頼性を示すものと言えるでしょう。
「Plays」企画:ベイカー街の物語を朗読劇で
SHSCFのウェブサイト内「Plays」ページでは、コナン・ドイルの物語を原作とするオリジナルの一幕芝居(正確には登場人物へのインタビュー形式の寸劇)を紹介しています。これらの脚本は、ZOOM例会の中でBaker Street Playersと名付けられた朗読チームによって読まれ、物語をめぐるディスカッションが始まる前の「小ネタ」的な位置づけで上演されています。
さらに、上演された作品はポッドキャスト「Baker Street Theatre」としてSpotifyでも配信されており、例会に参加できない会員や海外のシャーロッキアンも楽しめる仕組みになっています。
これまでの上演作品
サイトに掲載されている過去の上演記録は以下の2作品です。いずれも脚本はTom Campbell氏によるものです。
「An Interview with Lady Brackenstall(レディ・メアリー・ブラッケンストールへのインタビュー)」
原作:「アベ農園(The Adventure of the Abbey Grange)」
上演日:2026年5月19日
出演:Kristin Espinosa(レディ・メアリー役)、Steve Sylvester(ハーバート・グリーノー・スミス役)、Steve Mason(ナレーター役)
「An Interview with Lady Hilda Trelawney Hope(レディ・ヒルダ・トレローニー・ホープへのインタビュー)」
原作:「第二の汚点(The Adventure of the Second Stain)」
上演日:2026年6月16日
出演:Marakay Rogers(レディ・ヒルダ役)、Phil Angelo(ハーバート・グリーノー・スミス役)、Paul Schervish(ナレーター役)
Playsページの一覧表では上記の通り「第二の汚点」を原作とする記載になっていますが、個別ページ内の情報(og:description)には前作と同じ「アベ農園」というテキストがそのまま残っており、明らかな転記ミスと見られます。レディ・ヒルダ・トレローニー・ホープという登場人物自体は正典上「第二の汚点」の人物ですので、内容としては一覧表の記載が正しいと考えられますが、引用・紹介の際はサイト側にこの表記揺れがある点にご留意ください。
脚本は他団体でも上演可能
サイトには、これらの一人芝居について「他のクラブ、ザイオン、団体でも上演可能」との案内があり、脚本の入手先として専用の「Play Scripts」ページへのリンクが設けられています。地域を超えてシャーロッキアン・コミュニティ内で脚本を共有し、各地のスシオンで再演してもらうことを想定した、開かれた運用がなされているのが印象的です。
まとめ
SHSCFの取り組みは、正典読解や研究発表だけでなく、「登場人物へのインタビュー」という形式の寸劇を通じて物語を立体的に楽しむ、コミュニティ活性化の好例と言えます。朗読劇とポッドキャスト配信を組み合わせる手法や、脚本を他団体へ開放する姿勢は、日本国内のシャーロッキアン活動においても参考になる部分があるかもしれません。
*アイキャッチ画像はhttps://www.sherlockholmessociety.com/plays.htmlからの借り物となります。
参考・引用元(一次資料)
Sherlock Holmes Society of the Cape Fear 公式サイト「Plays」ページ:
同サイト「Welcome」ページ(団体概要):
「An Interview with Lady Brackenstall」個別ページ:
「An Interview with Lady Hilda Trelawney Hope」個別ページ:

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