新刊を楽しみにしている現在進行形のホームズものの一つが『ガス灯野良犬探偵団』です。すでに10巻を超え、今日11巻が発売されました。
青崎有吾さん原作、松原利光さん漫画の『ガス灯野良犬探偵団』は、漫画版のホームズパスティーシュといえると思いますが(オルタナティブでもあると思います)、主人公はホームズではなく、路地裏で浮浪児として暮らす少年リューイ。ある事件をきっかけに出会ったのがシャーロック・ホームズで、複雑な感情を抱きながらも彼の下で働くことになります。
ホームズのために働く浮浪児として、実際に正典にも登場するのがベイカー・ストリート・イレギュラーズですが、まさに本作はリューイを中心としたイレギュラーズについて描かれる作品となっています。
すでに11巻目ということで、イレギュラーズメンバーも固まって、ロンドンの他の地域の浮浪児のグループやモリアーティ率いる集団も登場しており、すでに様々な絡みが繰り広げられています。
シャーロッキアンとして嬉しいのが、正典に登場している事件が使われていること。
11巻でも「ブルース・パティントン設計書」事件をリューイ達が解決するというエピソードがあり、正典とは違った展開ですが、うまく使われていると感心しました。
また本書の特徴の一つが、ホームズがインド系の人物として描かれていること。1巻での登場は衝撃的でしたが、その後あまり彼のルーツが語られることは無かったのですが、いよいろ11巻になり、少しずつホームズの出自についても触れられるようになってきました。
うまいなと思うのは、バラエティ豊かな人物が登場してきているのですが、それぞれの間に語られてなかった関係性がちりばめられていること。登場人物はかなり多いのですが、すこしずつ深掘りされ、因縁が明らかになり、という展開は今後の楽しみでもあります。本巻でも、ホームズとワトソンの意外な因縁が明らかになっています。
こうした精緻なプロットはやはり原作である青崎有吾さんの力によるところが大きいように思います。青崎さんの小説をたくさん読んでいる訳ではないのですが、『ノッキンオン・ロックドドア』は「不可能犯罪専門」と「不可解犯罪専門」という二人の探偵による謎解きというだけではなく、シリーズ全体で人間関係が明らかになっていくということでは本作と似たスリルが味わえます。「アンデッドガール・マーダーファルス」では、19世紀ヨーロッパが舞台というだけではなく、シャーロック・ホームズも登場しており、青崎有吾さんとホームズの接点がここにもあることが分かります。
ということで、11巻になって、ますます目が離せない展開になってきており、早くも次巻が楽しみになってきました。

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