The Guardian(2026年5月26日付)に、新たなホームズ映像化作品をめぐる興味深い考察記事が掲載されました。
Skyが2027年に放映予定のドラマ 『The Death of Sherlock Holmes』を発表したことを受け、記事は「われわれは本当にまたシャーロック・ホームズのリメイクを必要としているのか」という問いを立てています。
今年はすでにPrime Videoの 『Young Sherlock』(Hero Fiennes Tiffin主演)が配信されてトップ10入りを果たし、Enola Holmes の第三作が近日配信となること、David Thewlis主演 Sherlock & Daughter 第2シーズンの制作開始、さらにRobert Downey Jr.の第3作への新たな噂まで飛び交っている状況です。
新作『The Death of Sherlock Holmes』 は、1891年のライヘンバッハの滝での「死」から1894年の帰還までの空白期間を舞台に、記憶を失ったホームズがスイス・アルプスで自らのアイデンティティを推理するという設定で、「原典に残された最後の空白のひとつを埋める」作品と紹介されています。
この日記でも紹介済みです。

ホームズが飽きられない理由について、記事はいくつかの視点を紹介しています。
ロンドン・シャーロック・ホームズ協会のCalvert Markham会長は「喜びは、ホームズが新たなオリジナル作品を生み出し続けていること」と述べ、正典の登場人物、ホームズ、ワトスンはもちろん、アイリーン・アドラー、モリアーティ、マイクロフトといった脇役に至るまで、が非常に豊かに描かれているため、性別を変えたり設定を大きく変えたりしても成立すると指摘しています。
またローズ大学のSam Naidu教授は、現代の社会的・政治的不安定さが「秩序と理性の象徴」であるホームズへの需要をむしろ高めていると分析。「不安定さが、理性と秩序の安心できるアイコンへの需要を生み出す。ホームズは、事件が解決され、善が勝利する物語の快楽を提供し続けている」と述べています。
さらにナイドゥ教授は、竹内良輔によるマンガ版から、元NBAプレイヤーのカリーム・アブドゥル=ジャバーによるマイクロフト・ホームズ三部作に至るまで、世界的な広がりを持つ文学的継続・拡張を「原典の物語的豊かさの証明」として挙げています。
BBCドラマ Sherlock のスティーヴン・モファットは、新作についてSpallから直接アイデアを聞き「まったく独創的で、これまでにないアプローチだと思う」と語っています。
ホームズ適応化の心得についても明快です。
「フォーマットはあなたより賢い。多少は押し広げてもいい。でも根幹には手を触れるな。自分はホームズを”直す”ために来たと思ったら、痛い目に遭う」
コナン・ドイルを除き、ホームズという概念はそれを書いたすべての人より賢い、というのがモファットの結論です。この一線を越えたときこそ、キャラクターの「謎」が損なわれ、本当の意味での「ホームズ疲れ」が訪れる、と記事は締めくくっています。

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