2026年5月14日:創元推理文庫から『シャーロック・ホームズは引退しました』発売予定

東京創元社の創元推理文庫から、かなり気になる一冊が発売されるということがXで流れてきました。ホリー・ヘップバーン著、廣瀬麻微訳の『シャーロック・ホームズは引退しました』です。発売日は2026年5月21日(木)、電子書籍も同日配信開始とのこと。

このポストの通り、JSHCの北原尚彦さんが解説を書いています。

舞台は1932年のロンドン、ベイカー街。ホームズ物語がストランド・マガジンを席巻し、最後の作品が掲載されたのが1927年ですので、32年はまだ人々の記憶に新しかった時代といえるでしょう。

221B番地には、かの名探偵の実在を疑わない人々から、今日も依頼の手紙が届き続けています。しかし実際にホームズの下宿はありません。

当時221Bにあった住宅金融組合の郵便室に配属された主人公のハリエット(通称ハリー)・ホワイトの仕事は、そうした手紙に淡々と断りの返事を打ち返すこと。「ホームズ氏はすでに探偵業を引退し、現在はサセックスで養蜂に従事しております」と。

ところがある日、1通の手紙が彼女の目を引きます。それは、ロンドンに出てきて間もなく消えた若いメイドを探してほしいという、切実な依頼でした。自分の実家近くの村からきた手紙だと知ったハリーは、はじめて「ホームズの代理」として自ら動くことを決意します、というのがストーリーのようです。

原題は The Missing Maid(Boldwood Books、2024年刊)。「コージー・ミステリ(コージー・クライム)」と呼ばれるジャンルで、1930年代のイギリス社会を丹念に描きながら、謎解きとキャラクターの魅力を前面に押し出した作品です。

著者ホリー・ヘップバーンはコーンウォール生まれで、ベストセラー作家。本作がミステリへの初挑戦で、すでに続編2作(The Cursed Writer、The Locked Room)が発表されているようです。

 

シャーロキアン的な着眼点

この小説のアイデアの種は、実際の歴史的事実にあります。

ホームズ物語が人気を博すにつれ、221B番地宛の手紙が本当に殺到するようになりました。1930年代、その住所を実際に使っていたのは、アビー・ナショナル・ビルディング・ソサエティ。ホームズへの手紙に返事を書く「ホームズの秘書」役を担当する専任スタッフを実際に置いていました。本作はその事実を巧みに物語の軸にした、ユニークな着想の作品です。

また、「ホームズは引退してサセックスで養蜂をしている」というのは、いうまでもなく正典にもとづいており、主人公が手紙の返事に書き続ける定型文がそのまま作品タイトルになっています。ただし、原題はThe Missing Maidなので、邦訳するときにうまくタイトルを考えたと言えるでしょう。原題よりもむしろシャーロッキアン的な意味で関心を引くタイトルだと思いますし、シャーロッキアンで無くてもこのタイトルの報が関心を引くような気もします。

正典の「引退後ホームズ」を出発点にしつつ、主役はホームズではなく221Bの住所で働く一般女性というのは新鮮な視点です。1932年のロンドン社会、当時の女性の社会的立場、そして「名探偵への手紙」という史実的なモチーフが絡み合う、読み応えのある歴史ミステリになっていそうです。

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参考サイト

版元ドットコム(東京創元社): https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784488264079

BOOK☆WALKER: https://bookwalker.jp/deae6228ff-ac5b-4f30-a7be-3dd2ffe44a56/

東京創元社 文庫近刊: https://www.tsogen.co.jp/np/comingbooks.html?flg=2

北原尚彦 on X: https://x.com/naohikoKITAHARA/status/2006586011837673522

Book After Book – The Cursed Writer review: https://bookafterbook.blog/2024/10/17/bookreview-the-cursed-writer-by-holly-hepburn-hollyh_author-boldwoodbooks/
mjporterauthor.blog – The Missing Maid review: https://mjporterauthor.blog/2024/03/27/im-delighted-to-be-reviewing-the-missing-maid-by-holly-hepburn-histfic-cosycrime/

 

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