ニコラス・メイヤーさんといえば、『シャーロック・ホームズの素敵な冒険』(原題はThe Seven-Per-Cent Solution)で古くからのシャーロッキアンにも有名な作家さんです。
内容は英語の原題からも分かるとおり、ホームズのコカイン使用にまつわるお話。(解説すると、ホームズは正典にも描かれているとおり、事件がなく退屈になるとコカインに救いを求めていたのですが、そのコカイン溶液が7%の濃度でした。)
この本を原作に作られたのが『シャーロック・ホームズ氏の素敵な挑戦』。
原作よりもむしろ映画の方が有名かもしれません。
公開されたのが1976年ということで、もうかれこれ50年前のこと。私はもちろんリアルタイムでは知らないのですが、ホームズに目覚めたときにはかなりメジャーなパスティーシュとして認識しているくらい、日本でも定番になっていたと思います。
そんな50年前から活躍しているシャーロッキアンなので、何となく歴史上の人、というイメージを持っていましたが、昨年『Sherlock Holmes and the Telegram from Hell』が発売されて、まだ活躍しているんだと認識を新たにしたのです。
これは当方の単なる不見識で、翻訳もされている上記含めた最初の二冊に加えて、さらに4冊のホームズパスティーシュを書かれていました。以下にリストアップします。
- The Seven-Per-Cent Solution(1974):ワトスン博士による“発見された原稿”として語られる、ホームズのコカイン中毒からの回復を描いた小説。
- The West End Horror(1976):ロンドンの演劇界を舞台にした連続殺人事件と、ワトスンが紹介するホームズとの邂逅を描く物語。
- The Canary Trainer(1993):ワトスンの“失われた冒険録”として語られる、オペラ座と『オペラ座の怪人』の世界を絡めた一作。
- The Adventure of the Peculiar Protocols(2019):『シオン賢者の議定書』をテーマに、歴史的実在人物も交えて展開する推理劇。
- The Return of the Pharaoh(2021):エジプトを舞台に、ワトスンの回想録風に描かれた新たな事件。
- Sherlock Holmes and the Telegram from Hell(2024):第一次世界大戦中の大西洋横断を舞台に、暗号電報を巡る謎に挑むホームズとワトスンの冒険。
2作目の『ウェストエンドの恐怖』は翻訳もされて持っているのですが、その後しばらく時間が空いて93年からまたパスティーシュを書いています。
今年、始めてニューヨークのBSIウィークエンドに参加したのですが、BSIのH暮さんによれば、ニコラス・メイヤーも来てるかも、とのことで、お会いできないかと楽しみにしていたのですが、NYには来られていたようですが残念ならがタイミングがあわず対面はかないませんでした。
その代わりといっては何ですが、彼のサイン入りの本を購入してきました。(実はすでに日本で購入していたのですが、サイン本ということとでダブりでも買おうかと・・・)
そんなメイヤーさんですが、今年もホームズパスティーシュの新作を発表されました。
それが『Sherlock Holmes and the Real Thing』
これを記念してか、先日紹介したシャーロッキアンPodcastであるIHOSE(I hear of sherlock everywhere)という番組に、メイヤーさんが登場していました。
著書の発売にあわせて、アメリカ中をツアーするとのこと。
まだ半分しか聞けてませんが、伝説の(私にとって)シャーロッキアンの声が聞けるというのはなかなか感動ものです。
またいつニューヨークに行けるか分かりませんが、(私にとって)レジェンドなシャーロッキアンに会えるのを楽しみにしつつ機会を待ちたいと思っています。
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