シャーロッキアーナと呼ばれるシャーロック・ホームズの研究は100年以上の歴史があり、多岐にわたっています。
私自身は、長らくシャーロッキアンではありましたが、本格的に取り組み始めたのはロンドンに留学していたときに、せっかくロンドンにいるのでホームズゆかりの地を巡ってみたというのが始まりだったと思います。
最初は単にホームズ作品に出てくる場所に行くだけだったのですが、徐々に参照する文献が増えていき、場所の特定だけでもさまざまな先行研究があるということを実感しました。私がやっていたのはいわゆる地理学という分野なのですが、シャーロッキアーナの中でももっとも盛んなものの一つが年代学と言われる分野となります。
私自身はまだ年代学を本格的に取り組める準備ができていないと感じているので、もっぱら文献の蒐集にとどまっています。
基礎的なところでは、ベアリング=グールドによる事件発生順に並べた注釈付きホームズ全集がとっかかりになると思いますが、その後もさまざまな研究が行われており、事件発生順についての研究の積み重ねも分厚いものとなっています。
昨年10月21日の日記で、IHOSEでインタビューされていたブルース・ハリス氏もそんな年代学者の第一人者。

そのときに、蔵書に『It’s not always 1895』という本があることを書いていました。なので、この本のタイトルは記憶に新しかったところ。
そんな背景があったからシンクロニシティが働いたのか、先日のニューヨークでのBSIウィークエンドで参加したランチレセプションで座った席で、偶然ブルース・ハリス氏と同じテーブルになりいろいろ話をすることができました。
控えめな印象のハリスさんから、年代学の話や今取り組んでいる研究についてお話を聞くことができ、大変感銘を受けました。
帰国後、Facebookでもやりとりができましたので、今後年代学についていろいろと教えてもらえないかと思っています。
そんなハリスさんの書いた『It’s not always 1895』を改めて読んでいるのですが(といっても最初からというより興味を惹かれたところからですが)、いろいろと新たな発見があります。
例えば、『緋色の研究』。てっきり、ホームズとワトソンが出会って最初の事件との認識だったのですが、実は出会ってから、ローリストンガーデンの事件が起こるまでは数年経っていたとの説明があり衝撃を受けました。
本書によれば、出会いは1881年で概ね一致しており、ローリストンガーデン事件は1884年に発生したとする人が多いとのこと。根拠の一つとして書かれている、警官が使う笛は1881年にはまだ導入されていなかったとする研究など、見事な着眼点だと思いました。(ソニア・フェザーストンさんの研究だそうです。)
まだ全体が読めていませんが、いろいろと最新の研究にも触れることができそうで楽しみにしています。
こちら、プリントオンデマンドらしく、海外の本ですが比較的安価に入手できました。



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