10月ももう最終日。今年もあと2ヶ月。年々、時間がたつのが早く感じられます。
楽しみにしていたポーツマス旅行も、弘前での全国大会もあっという間に過ぎてしまいました。次のニューヨーク行きも楽しみですが、きっとすぐやってきてしまうように思います。
さて、最近聴いたPodcast「Trifles」がとても面白かったのでご紹介します。
この番組は、BSI(ベイカー・ストリート・イレギュラーズ)のバートさんとスコットさんがパーソナリティを務めるシャーロッキアン向けの番組で、毎週ひとつの小さなトピック(Trifle)を取り上げて考察を展開しています。
先週のエピソードは「Paddington vs. Waterloo」
概要は以下の通りです。
ロンドンから西のダートムアへ旅をしようという方へ(特にクーム・トレイシーで途中下車したい方)は、ワトスン博士にならって、パディントン駅でバスカヴィル卿と落ち合うのがよいでしょう。
ただし、ひとつだけ注意があります。――西へ向かうには、もうひとつ別の駅もあるのです。
そしてもしあなたが別の人物なら、そちらの駅のほうを好むかもしれません。
.
元々は、Facebook上でのシャーロッキアンコミュニティの「The Stranger’s Room」というところで提示された疑問が発端だったそうです。
ちなみに、このThe Stranger’s Roomというのは、ホームズの兄マイクロフトが会員になっているディオゲネスクラブで唯一会話が許される談話室に由来しています。
内気とか人間ぎらいとかが原因で、人なかへ出たがらない連中が、ロンドンにはずいぶんいるからね。それかといって、坐り心地のいいいすや、新刊の雑誌類がまんざらきらいなわけではない。こういう人たちの便宜のためディオゲネス・クラブができたわけだが、いまではロンドン中の社交ぎらいの男たちを大半網羅している。クラブ員はおたがいにほかのクラブ員に絶対関心をもってはいけないし、外来者室以外では、どんな事情があっても談話することを許されない。もしこの禁を犯し、委員会の注意をうけること三度におよべば、話をした男は除名処分になる。兄はこのクラブの創立者の一人だが、実見して知っているけれど、なかなか感じのよい所だよ。(「ギリシャ語通訳」延原謙訳)
その談話室でメンバーの一人が次のようなポストをしたのが今回Trifleで取り上げるきっかけになったのだとか。
ヘンリー卿とワトスンはパディントン駅からダートムアへ向かいましたが、ステープルトンは馬車の御者にウォータールー駅で降ろすよう指示しました。クーム・トレイシーへ行くはずなのに、同じ駅から出発していないのは妙に思えます。
この疑問について、バートさんとスコットさんがあれこれと議論を深めていました。
ダートムアに向かう列車はどちらからも出ていたのは間違いなく、どちらかというとパディントンから出るのが自然なので、ステープルトンはダートムアに向かうであろうヘンリー卿と鉢合わせしないようウォータールーに行ったのではないかとの議論でした。
現在でも両方の駅からエグゼターに行って、そこからニュートンアボットまでは行けます。そこからボヴィー・トレイシーへは、当時は支線があったのですが、現在では廃止されてしまい鉄道ではいけなくなってしまいました。
私がダートムアに行ったときは、デボン出身のクラスメートが車で実家に連れて行ってくれたときに立ち寄ったので、鉄道事情は分かりませんでした。それでも、ホームズやワトスンが実際に使ったであろう路線が今は失われつつあると思うと、少し寂しい気持ちになります。
冒頭の写真はダートムアに行ったときのものです。荒涼とした、というイメージにぴったりでした。



コメント