【221Books】センイチブックスでシャーロック・ホームズファンを増やすための一棚本屋さんをスタート!シーズン1(2022年6月〜)として選んだ本はこちら

221Books 〜シャーロック・ホームズファンを増やす本屋さん〜

第一回配本

仙川のみなさん、初めまして。センイチブックスでチラシを手に取ってくださってこちらにアクセスしてくださった方はありがとうございます。

2022年6月1日、調布市仙川のセンイチブックス内に一棚書店としてオープンした221Booksです。


本書店は、世界一有名な名探偵、シャーロック・ホームズをより深く知ってもらい、そしてさらに興味を持ってもらえる、ホームズファンになってもらえるような本をみなさんに紹介することを目的にスタートしました。

(店頭に並べた本は、自分でもとっておきたい大事な本が多いため、非売品多めとなっていて恐縮です。)

チラシを見てこちらに来ていただいた方は、下記の書名または書影をクリックした先から購入することができますので、気に入った本があれば購入してみていただけたらと思います。昔の本だと古本でしか入手できない物もありますので、在庫が無い場合は出品を待っていただけますと幸いです。ヤフオクなどのオークションサイトに出ることもあります。

第一期の品揃え

初めての出店ということもありますので、まずは基本となるホームズの事件簿を紹介していますが、さらに原作を読み終わった方向けに、ホームズとそのとりまく世界をより愉しむための方法が書いた手引き書やホームズを題材とした研究などもとりそろえています。

ホームズを取り巻く世界に興味を持ってもっと知りたいと思った方は立派なシャーロッキアン。ということで、シャーロッキアンと呼ばれる人々のことを知ってもらえる本も紹介しています。

(1)正典

ホームズのオリジナルの作品は60編(長編4作、短編56作)あり、シャーロッキアンはこれを聖書にあやかって「正典」と呼んでいます。

ホームズとワトソンの出会いも書かれている「緋色の研究」は1887年にアメリカの「ビートンのクリスマス年鑑」という雑誌で発表されました。

2作目の「四つの書名」も長編となっており、こちらもアメリカの「リピンコット・マガジン」に1890年に発表されました。

最初の2作はそれほど評判にはならなかったのですが、その後、イギリスの「ストランドマガジン」に短編の連載が始まると人気が爆発的に高まり、その後56の短編と2つの長編が1927年まで発表されました。

短編については、5つの短編集(「シャーロック・ホームズの冒険」、「〜思い出」、「〜帰還」、「〜最後の挨拶」、「〜事件簿」)としてまとめられています。

そんな数ある正典ですが、221Booksの初回では、正典の中でも人気の高い長編でもある「バスカヴィル家の犬」を何種類か持ってきました。おりしも開店と同じ月の6月17日から、ディーン・フジオカさん、岩田剛典さん主演の映画「バスカヴィル家の犬」が公開されることもあり、日本国内でも盛り上がることでしょう。

今回221Booksに置いたのは、同じ「バスカヴィル家の犬」でも時代や対象の違う3冊です。


偕成社版「呪いの魔犬」

まずは、児童書から一冊。小学校高学年以上向け。古い本なので大人の方は昔小学校の図書館で読んだという人もいるかもしれません。古い児童書としては山中峯太郎訳も有名ですが、個人的な思い入れもあり偕成社版をチョイスしました。児童書向けですが、脚色すること無く原作に忠実に訳されています。

青い鳥文庫「名探偵ホームズ バスカビル家の犬」

こちらは現役の児童向けのホームズとなります。難しい漢字にはルビが振ってありますし、挿絵もかわいいので、小さなお子さんでも頑張って読めると思います。


創元推理文庫「バスカヴィル家の犬」

こちらは原作に忠実な日本語訳版。創元推理文庫だけではなく、各種文庫でホームズシリーズが刊行されていますので好みの翻訳家で選ぶのもありかもしれません。長らく定番とされてきた新潮文庫の延原健訳ですが、刊行当時の著作権の関係で、短編集のまとめ方とタイトルが若干原作と違っているので注意が必要です。

(2)ちょっと変わった正典と伝記

上の「バスカヴィル家の犬」はいずれも原作の翻訳となっていて、それぞれの文庫のホームズ。シリーズも基本的には原作と同じ構成(長編と短編集)となっています。

一方でちょっと風変わりなホームズ全集というのも存在しています。

それは、ホームズ作品中の語句に注釈を付けようというもの。これまで3回、そのような注釈付きのホームズ全集が出版されてきましたが、今回紹介するのはその元祖となるこちらとなります。


ちくま文庫「詳註版シャーロック・ホームズ全集1」

ホームズ研究家のベアリングーグールドによる注釈の付いたホームズ全集。本文よりも注釈の方が多いのではないかと思われるほどたくさんの語句に注釈・解説がついています。

そして、上でホームズ作品は「緋色の研究」が最初に発表されて・・・と書いたのですが、こちらの全集は発表された順番では無く、事件が発生した月日の順番にわざわざ並べ直しているのも特徴となります。例えば、「緋色の研究」が発表されたのは、1887年ですが、事件が発生したのは1881年のことで、それを振り返って書いている形になっています。この実際に発生した順番を探り出して並べ替えているのです。

こちらの全集、東京出版とちくま文庫とで刊行されていますが、いずれも絶版になってしまっているのが残念なところ。古本で買い集めるしかないのですが、その価値はある全集だと思います。


河出文庫「シャーロック・ホームズ ガス燈に浮かぶその生涯」

上で事件発生順に並べ替えの作業を行ったベアリングーグールドですが、同じ手法を用いてホームズの伝記を書いています。

正典に無い部分はベアリングーグールドの推理(及び想像・妄想)によって補完されています。従って、正典のどこにも書かれていないホームズの幼少時代や切り裂きジャックとの対決なども楽しめます。

(3)正典を読み終わったら次に読んでみよう

 ここまでは、シャーロック・ホームズのオリジナル作品を読んでみようということでしたが、ここからは少しホームズに感心が出てきて、もう少し踏み込んでみたい人向けの本となります。

 上で紹介したようなホームズの事件簿(正典)を読んでも充分楽しめるのですが、舞台は130年近く前のイギリス・ロンドンですので、どうしても現代の我々には馴染みのないことも出てきます。読み飛ばすこともできますが、せっかくなので時代背景なども押さえておくとさらにホームズを楽しめること請け合いです。


河出文庫「シャーロック・ホームズ入門百科」

 ホームズ作品の舞台となっているロンドンのこと、ホームズの人物像など、ホームズの一歩踏み込んだ楽しみ方が分かるまさに入門書。60編の正典の概要があるので復習もできます。

 著者は、日本のホームズファンを牽引してきた小林司・東山あかね両氏。1977年に設立された「日本シャーロック・ホームズ・クラブ」も主宰されています。


くもん出版「シャーロック・ホームズ事典」

小さなお子さんのホームズファンに是非読んでもらいたい一冊。各事件の要約、舞台となっているヴィクトリア朝のこと、当時のロンドンのこと、ホームズやワトソンの人物像、探偵小説史とホームズの日本への移入史、Q&Aなど絵や写真が満載で解説されています。原作に出てくる英語表現についても紹介されていますので、ホームズが好きで英語を勉強したいというきっかけにもなるかもしれません。


三省堂「シャーロック・ホームズ大図鑑」

こちらは、60の事件について一つ一つ人間関係を図式化したり、映像化作品からの写真、関連するトピックなども含めて丁寧に解説しています。装丁も美しく、中もカラーになっていますので、ビジュアル的に訴えかけてくる魅力がある本です。


河出書房新社「図説シャーロック・ホームズ」

 上記⑥の元となった本となります。ロンドンや舞台となった場所の写真が豊富なのと、ホームズの人物像が掘り下げられているのが特徴的。

 世界中の言語で書かれたホームズ作品の表し一覧が掲載されていて、いかにホームズが世界中で愛されているのかが分かります。


誠文堂新光社「シャーロック・ホームズ語辞典」

 ホームズに登場する語句だけではなく関連する言葉をあいうえお順に解説。2019年と比較的最近の刊行なので、BBCドラマの「Sherlock」や映画の「シャーロック・ホームズ シャドウゲーム」なども収録されています。基本的にはホームズに出てくる言葉や、ホームズ役者などの項目なのですが、一見ホームズとの関係が分からない項目も多数収録。AKB48やPerfumeとホームズの関係、分かりますでしょうか?

(4)ホームズを研究する

 ここからはさらに踏み込んで、ホームズに出てくる様々な事柄を「研究」していようという取り組みです。ホームズを研究?と思われる方も多いと思いますが、一見意味が分からないことに真剣に取り組むことで、一つの面白さに到達できるというのがホームズ研究と呼ばれている分野となります。

フットワーク出版「優雅に楽しむ新シャーロック・ホームズ読本」

正典60編の解説もありますが、注目は様々なテーマのホームズ研究。ホームズと犬、ホームズと鉄道など真面目な研究が多数収録されています。


河出文庫「シャーロック・ホームズ17の愉しみ」

こちらは欧米のシャーロッキアンによる17編のエッセイ・研究集。事件発生の年代・日付からホームズの下宿の場所の考察まで。シャーロッキアンの本気を感じられます。

(5)シャーロッキアンってどんな人々?

 シャーロック・ホームズのファンのことをシャーロッキアンと呼んだりしていますが、イメージとしてはかなりハードコアなファンというイメージもあるかもしれません。(そんなことはない、と私は思いますが)

 どんな人々がシャーロッキアンと言われているのか、その一端を知ることができる本を二冊選びました。


双葉社「シャーロッキアン!」

ホームズ研究家の大学教授とホームズ好きの教え子を描いたコミックです。教え子であり主人公である原田愛里が本格的なシャーロッキアン達と出会い、ホームズにも関連する出来事を通じて、ホームズに詳しくなっていく過程が描かれています。シャーロッキアンという人種を知るのに一番手っ取り早い本。


作品社「ホームズからシャーロックへ 偶像を作り出した人々の物語」

ホームズの作品が世に出る前の1878年から始まり、2016年までのシャーロックホームズに関わってきた様々な人々が登場します。ドイルの遺族達の振る舞いや、シャーロッキアンの団体がいかに形成されてきたのかも興味深いのですが、ボリュームが圧倒的!読み応えのある一冊です。

結び

 一棚本屋さんを開始するに当たり、どんな本を並べるか蔵書を眺めてみたのですが、歴史が古いためもあって似たコンセプトの本もたくさんあることが改めて実感できました。

 そんな状況ですが、自分の好きな本を中心に、正典を読み終わったとに読んで欲しい本という観点で選んでみました。

 お問い合わせなどあればいつでも本サイトのお問い合わせフォームからお知らせください。

 時期を見て、第二シーズンとして、新たな視点でホームズの本を選書したいと思っています。


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